「暑気払い」は、どの季節の季語かご存じでしょうか。
いきなり結論から言ってしまいますが、暑気払いは夏の季語です(なんとなく想像がつくと思いますが)。
今回は、暑気払いとは何なのか、その由来や、暑気払いを使った俳句の例についてみていきたいと思います。
また、同じく夏の季語として使われる「快晴」「屋台」「潮騒」などについて説明していきます。
目次
暑気払いってそもそもなに?
暑気払いの季語は夏ですが、そもそも『暑気払い』とはどのような意味なのでしょうか?
暑気払いは、その名の通り、暑気を払う。
夏の暑い時期や、暑さがまだ残る頃、暑さを払うという意味が込められています。
「暑気払い」という言葉の起源は、中国の伝統医学に由来し、体内にこもる暑さを「暑邪」と呼び、邪気の一つとして扱っていました。
体内に熱気が溜まると、体力や気力を消耗し心身の不調に繋がるため、暑い時期になると体の中の暑気を払い、元気に過ごそうとする「暑気払い」が行われるようになった、ということです。
暑気払いは、季語の他にも一般的な日常会話でも使われることがあります。
「こう暑くっちゃたまらないから、暑気払いをしよう!」
と、このような感じですね。この場合の『暑気払い』はつまり、飲み会ですね。
会社の上司から誘われた経験がある方もあるかもしれません。
暑い時期になると体に熱がこもるため、お酒を飲んで英気を養うことで暑気を払うという意味が含まれます。
このように、季語の他にも日常会話でも暑気払いは使われているのです。
暑気払いの由来は?
「暑気払い」とは、暑さを打ち払うという意味が含まれているわけですが、ここで言う「暑さ」とは体の熱のことを指しており、つまり体温のことです。
暑い季節は体温を下げた方が良く、昔の人々は食べ物で体温の上昇を防いでいたと言われています。
暑気払いに適した食べ物は、体を冷やす効果があるものです。
夏の時期に収穫される食材、特に麦(冷や麦、そうめん、ビール)、瓜類(スイカ、キュウリ、ゴーヤ)、さらに氷や甘酒が挙げられます。
これらの食材は、夏バテ防止や身体を冷やすのに役立ちます。
冷麦やそうめんは麦で作られており、同じく麦が原料であるビールが暑気払いの時に飲まれるようになったのは合点がいきますね。
いつからか、暑気払いと言えば食べ物ではなく、ビールなどのお酒がメインとなり、暑気払いと言えば飲み会のことを指すようになったのです。
暑気払い以外の夏の季語は?
夏の季語である暑気払いですが、他にも代表的な夏の季語がありますのでいくつか紹介します。
快晴
暑気払い以外の夏の代表的な季語一つ目は、「快晴」です。
ただ、快晴は夏以外にもオールシーズンで使われることが多いので、この点抑えておきましょう。
春夏秋冬どの季節も、快晴というと、澄み切った青い空を想像すると思います。
その美しい情景を詠みたいときに、『快晴』という季語はピッタリですよ。
例えば、、
- 山の頂き、快晴の下遠くを望む。
- 海へ続く、快晴の朝の静けさ。
こんな俳句が詠めますね。
快晴という言葉から感じ取れる明るく晴れ渡った日の情景や、その中で感じる静けさや遠くを望む心情を表現しています。
屋台
暑気払い以外の夏の代表的な季語二つ目は、「屋台」です。
屋台と聞くと、夏祭りを想像する方が多いと思います。
実際、屋台はどの季節なのか調べたところ、意外にも具体的な季節は明示されていませんでした。
ですが、屋台は祭りの季節である「夏」に使われる言葉なので、夏を表す言葉として使われることが多いようです。
こちらも俳句を考えてみました。
- 屋台の灯、夏の夜長を彩りけり。
- 賑わう街、屋台の香り夏が満つ。
「屋台」という言葉を使って、それぞれ夏の雰囲気を表現しています。
夏の夜長を明るく彩る屋台の灯りや、その香りで心身が夏で満たされていく情景を詠んでみました。
潮騒
暑気払い以外の夏の代表的な季語三つ目は、「潮騒」です。
潮騒とは、海で波が海岸に向かって打ち寄せる波音のことで、夏の季節の俳句に良く使われています。
潮騒を使った俳句ですが、
- 潮騒の声、夏の終わりを告げてゆく。
- 寄せては返す、潮騒に心洗われ。
これはいかがでしょうか。
これらの俳句では、「潮騒」という言葉を通じて、海の音がもたらす感覚や情感を表現しています。
一つ目の俳句では、夏の終わりの情景として潮騒の声を描き、季節の移り変わりを感じさせます。
二つ目の俳句では、潮騒の繰り返しに心が洗われるような癒やしや静寂を表現しています。
海の存在がもたらす豊かな感情やイメージを、短い言葉で捉えてみました。
その他夏を詠む俳句によく使われる言葉
暑気払い・快晴・屋台・潮騒以外にも、下記のワードは夏を詠む俳句によく使われています。
- 焼肉
- 熱
- 夏の日
- 夏の暁
- 夏の朝
- 涼し
- 暑し
- 夏の浜
- 祭り
参考にしてみてくださいね。
暑気払いを使った俳句の例3選!
「暑気払い」という季語を含む俳句には、夏の暑さを忘れさせる涼やかな情景を想像すると良いと思います。
以下に、その季語を用いた俳句をいくつか紹介します。
- 暑気払い 水面を撫でる風の手
- 暑中お見舞い 暑気払いの一杯を
- 暑気払い 静けさの中に水の音
これらの俳句は、夏の涼を求める心情や、自然の中で感じる涼しさを表現しています。
季語「暑気払い」を通じて、猛暑を忘れさせてくれる一時の安らぎや、心地よい涼しさを見つけ出そうとする、視点が感じられると思います。
まとめ
暑気払いという季語について、みてきました。
俳句は非常に奥が深い日本の伝統文化です。限られた文字数で表現するその技法は、他の国の言語では非常に難しく、真似することができません。
日本特有の文化と言っても過言では無いでしょう。
夏の季語として使われる暑気払いという言葉は、日常会話の中でもよく使われており、主に飲み会などの誘い言葉として使われています。
当記事を参考にして、そんな暑気払いという言葉を使った俳句を詠んでみてはいかがでしょうか。